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『チャンバーズ・アー・ゴー!』 第2話【アトミック・チャンバーズ!】 [♂4 ♀0 N/A0]

キャスト

将軍様 ♂ 50代後半
軍事顧問A ♂ 40代前半
軍事顧問B ♂ 30代後半
兵隊 ♂ (兵隊A~Hを一人で演じてください)

発表用テンプレ
総書記長()・軍事顧問A()・軍事顧問B()・兵隊()





軍事顧問A「お待たせいたしました、将軍様。いよいよ本日をもって我が国も名実ともに核保有国となるのです。」

軍事顧問B「将軍様のご命令から3年3ヶ月。国民は皆、この日の為に寝食を忘れ働いて参りました」

将軍様「あぁ、どうも、どうも。ご苦労はん。」

軍事顧問A「ご覧下さい。この広大な平野は地下核実験場です。この観覧席から12キロ先・・・そちらの大型双眼鏡でご覧いただけますでしょうか、赤い屋根の小さな小屋がご覧いただけるかと思います」

軍事顧問B「あの小屋が爆心地基地、爆心ステーションでございます。ステーションの地下250mの岩盤上に核爆弾「チャンバーズ」が、現在セットされております。それが今回の試験の爆心地になるわけでございます。」

将軍様「チェンバーズ?・・ほぉー。」

軍事顧問A「将軍様、チャンバーズでございます。Chance(チャンス)きっかけ、Burn(バーン)焼き払う、Barn(バーン)原子核の断面積の単位、の3つを掛け合わせた造語でございます。核爆弾「チャンバーズ」は主に3種類の元素からなる新型爆弾なのです。」

将軍様「なんや、野球チームみたいな名前でんなぁ。ハッハッハ」

軍事顧問B「恐れ入ります!親しみやすい名前をというご命令でしたので、総員上げて知恵を寄せ合い、検討に検討を重ね、2万6千の候補の中から選び抜きました名前でございます。」

将軍様「あ、モシモシ、俺やぁー。・・・おん、・・・あ、あんな、これから核実験やねんけどな、・・・核実験。いや、新型爆弾のな、実験なんや。うまく爆発するかどうかな、これ見とかなあかんねゃ。・・・そう。それでな、爆弾の名前がな、チャ、チャンバース言うねんて。チャンバーズ。・・・な、おもろいやろ?・・・あぁ?宝くじみたいやて?チャンバー言うくじがあるんか?」

軍事顧問A「・・・部隊長!」

兵隊A「ハッ!」

軍事顧問A「最終準備を始めよ!」

兵隊A「ハッ!核実験部隊長、核爆弾「チャンバーズ」試用実験最終準備、開始いたします!大隊長!最終準備、開始!」

将軍様「・・・あー、いや先週は忙しかったからな。・・・うん、・・・うん、いや、コレ、また実験終わったらそっち、寄せてもらうから。」

兵隊B「大隊長、最終準備開始いたします!」

将軍様「・・・そんな、行くがなー、もぅ先週会えんで俺どんだけ寂しぃかったかー・・・また帰りに寄っとくれやすて、オマエそんな・・・京都の女将(おかみ)みたいな事言うてからに・・」

軍事顧問A「将軍様、ただ今、作業は最終準備に入りました」

将軍様「なんや、冷たいのん、無いかな・・・ワシ、のど渇いてしゃぁないねん」

軍事顧問A「申し訳ございません!すぐにご用意致します!」

軍事顧問B「オィお前!」

兵隊C「ハッ!」

軍事顧問B「・・・ちょっと、これでジュース買って来い。」

兵隊C「し・・・しかし顧問殿、ここは陸軍の軍事施設内でございます。自販機などはありませんが・・・」

軍事顧問B「ええぃ、準備が悪いな。将軍様が飲み物をご所望されておられるのだ。すぐに手配しろ!」

兵隊C「ハッ!」

軍事顧問A「将軍様、準備は滞(とどこお)りなく進んでおりまして、あと5分30秒で最後のスイッチを押していただける状態になります。」

将軍様「ほぉ。最後のスイッチ?」

軍事顧問B「こちらでございます」

将軍様「ヘェーヘェー言うやつか?・・・ハッハッハ。これ、テレビで出てるやつやろ?・・ヘェーヘェーゆうてなぁ!」

軍事顧問A「こちらのボタンを押されますと、爆破指令の命令が、爆心地から10kmの地点の指令所を中継し、さらに5km地点の中継所、2km地点の中継所を順々に中継し、爆心地上ステーションに伝令されます。爆心ステーションに詰めている基地長が起爆スイッチを入れるという仕組みでございます」

軍事顧問B「爆発が起こりますと衝撃波により強い振動が起こります。爆心地では上下に約数十メートル振動します。その余波が10km地点まで大きく伝わり、12km地点でありますこの場所でも若干、強い揺れを感じます。」

軍事顧問A「揺れにともない土煙は上がりますが、これは放射能を含む煙ではありません。今回の実験では放射能が地上に漏れる事はありません。安全にご覧いただけます。」

将軍様「ほぉー、何十メートルも揺れるんか・・・。大丈夫なん?」

兵隊D「(ラジオ越しの音声)大隊長、こちら10kmステーション、最終準備完了」

軍事顧問B「爆心ステーションを除き、他のステーションに詰めております兵、全2師団6小隊は全員生還致します」

軍事顧問A「爆心ステーションに詰めている5名のみは、その任務の性質上、この実験の犠牲となります。・・・しかし将軍様、我々が誇る陸軍兵は世界最強でございます。決して任務に恐れをなす事は無く、将軍様の為には命を捨てることを何も恐れはいたしません!」

兵隊E「(ラジオ越しの音声)大隊長、こちら5kmステーション、最終準備完了!」

将軍様「・・・その、爆心はどないなんの。」

軍事顧問B「爆心ステーションは爆発の強い揺れにより崩壊いたします。しかし爆発の直後、地上に振動が伝わるよりも以前に、強い放射線により、爆心ステーションの兵は苦しむことなく即死いたします。2km以遠のステーションまでは強い放射線は届きません。この観覧席まで届くのは爆発の衝撃による振動が伝わってくるのみでございます。」

軍事顧問A「我が国の核実験技術はまだ未熟ではございますが、将軍様の愛する国土を汚染する事を最小限に食い止める為、放射能の汚染に対しては考えうる限りの対策を講じてございます。」

将軍様「おーん・・・。ほぇで、その家族はどないなんのん?」

軍事顧問A「は?」

将軍様「・・・死んでゆく兵士の家族やがな」

軍事顧問A「通常戦死した兵士と同じ生活保障が適用されます。2等級の特別昇進、残された家族へは手厚い生活保護を用意しており、路頭に迷うことはありません。」

兵隊F「(ラジオ越しの音声)大隊長、こちら2kmステーション。最終準備完了いたしました。」

将軍様「うわ、またゆうてるわ。2キロやて。2キロはどないなんのんな?」

軍事顧問B「ご安心下さい。今回の実験の犠牲になるのは爆心ステーションの兵士5名のみでございます。2kmステーションも相当揺れは致しますが、命を失う程のものではりません。その為の訓練を受け鍛え抜かれた兵士達です。」

将軍様「・・・さよかー。しかしー、気の毒なもんやなぁ」

軍事顧問A「将軍様、兵士達は何も恐れてはおりません。将軍様が弱気になるような事があればそれこそが兵士の恐れることでございます。将軍様は今日、世界の列強国と同じ軍事兵器を手にされるのです。これからこの世界の主導権を握られる将軍様が、何を恐れることがございましょう?」

将軍様「・・・せやなぁーしゃぁないもんなぁ」

軍事顧問B「将軍様、この新型爆弾を手にすることで、我が国は世界のどの国にも共通の脅威を手にできるのです。これを避けて通るわけにはまいりません。我が国が強くなるのに何も躊躇(ちゅうちょ)されることはありません。将軍様の望まれた国になるのです。」

軍事顧問A「部隊長、現在の状況は?」

兵隊A「10km、5km、2kmの各ステーションは最終準備を完了しました。間もなく爆心ステーションの準備が整いますと、全ての準備が完了いたします。」

将軍様「・・・ああ、せゃ。あれ、どこやったかな。なんか、この下流の川で採れた鮎(あゆ)のな、なんか、鮎寿司を持ってきてくれよったんやな」

軍事顧問B「今朝の村の者から受け取られた品でございますね。爆発確認後の祝賀会で用意させていただいておりますが。」

将軍様「・・・なんか小腹(こばら)すいてきてもぉたなぁー」

軍事顧問A「申し訳ございません、将軍様。今しばらくの辛抱でございます」

将軍様「ちょっと、ワシ、はよ食べたいわ。何個か持ってきてくれるか?」

軍事顧問B「おぃお前!」

兵隊G「ハッ!」

軍事顧問B「将軍様が鮎寿司を所望しておられる。ちょっと、祝賀会場から折り詰めしてもらって来い!」

兵隊G「ハッ!」

軍事顧問B「急げ!・・・それから飲み物も何をしておる!急いで行け!」

兵隊H「(ラジオ越しの音声)・・・大隊長、こちら爆心ステーション。核爆弾「チャンバーズ」試用実験最終準備、完了致しました。」

軍事顧問A「将軍様、いよいよでございます」

兵隊B「部隊殿!10km,5km,2km各ステーション、並びに爆心ステーション、いずれも最終準備、完了いたしました!」

軍事顧問B「将軍様、これで我が国は人類の最強兵器を手にできるのでございます。」

兵隊A「・・・顧問、全ステーションにおいて、最終準備が完了いたしました。」

軍事顧問A「ご苦労。」

軍事顧問B「では、将軍様。起爆スイッチの前へどうぞ」

将軍様「あぁ?・・・あぁ・・・。いゃ、ワシ、えぇわ」

軍事顧問A「は?」

将軍様「いゃ、ワシ、ここで見とくさかぃ、ちょっと、押してんか」

軍事顧問B「将軍様、ここは将軍様に押していただきませんと」

軍事顧問A「カメラマンも控えております。どうぞ将軍様、ボタンの前へ」

将軍様「ああぁー、さよかぁー?・・・あぁー」

軍事顧問B「皆、拍手をしてお迎えするのだ!」

軍事顧問A「・・・では、将軍様。・・・スイッチをどうぞ」

将軍様「・・・ぐっと押すの?・・・ぐっと押すの?・・これ?」

兵隊D「(ラジオ越しの声)こちら10kmステーション!起爆信号確認!」

軍事顧問B「あ、将軍様、もぅ結構でございます。」

兵隊E「(ラジオ越しの声)こちら5kmステーション!起爆信号確認!」

軍事顧問A「将軍様、どうぞお座り下さい。」

兵隊F「(ラジオ越しの声)こちら2kmステーション!起爆信号確認!」

将軍様「さ、さよか・・・ドッコイショ、ドッコイショ」

兵隊H「(ラジオ越しの声)こちら爆心ステーション!起爆信号確認!チャンバーズ!起爆!・・・将軍様の未来に栄光あれ!バンザーイ!バンザーイ!・・・バンザーイ!」

軍事顧問A「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(約15秒沈黙)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?」

兵隊C「顧問、お待たせいたしました。冷えたコーラをお持ち・・・」

軍事顧問B「黙れ!・・・・・・・・・・(約10秒沈黙)・・・・・・・・・・将軍様にお注(つ)ぎしろっ。」

兵隊H「(ラジオ越しの声)こちら爆心ステーション・・・起爆スイッチは作動させましたが・・・今のところ反応が・・ガガッピーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

軍事顧問A「・・・何だ?!」

軍事顧問B「・・・おぉ!」

将軍様「・・・今、何や光ったで?」

軍事顧問A「・・・はぃ!今、起爆いたしました!」

軍事顧問B「・・・煙が・・・?」

将軍様「・・・・おぉ・・・まるで太陽の様に光って・・・えらぃまぶしいなぁ」

兵隊F「(ラジオ越しの声)こちら2kmステーション!爆発を確認!間もなく衝撃波による振動・・・ザザッ」

軍事顧問A「・・・土煙にしては、あの炎は何だ?」

軍事顧問B「想像以上の土煙でございますなぁ!」

兵隊E「(ラジオ越しの声)こちら5kmステーション!衝撃波確認!2kmステーションとの交信断絶!当ステーションも被害甚大!振動の到着を・・・ザザッ!」

将軍様「・・・あれは・・・あれおまぇ、キノコ雲ちゃうんか?」

軍事顧問A「はっ・・・将軍様、・・・将軍様!お座り下さい、間もなく振動がまいります」

将軍様「・・・・いやぁ、見事なキノコ雲やなぁ・・・」

兵隊D「(ラジオ越しの声)こちら10kmステーション!衝撃波確認!振動が・・・振動が来ました!」

軍事顧問A「・・・お・・・おぉ、揺れてきましたな」

軍事顧問B「うぉっ・・・思ったよりも、強い・・・あぁ!・・・コーラが!」

将軍様「おまェ、つっ、冷たいやんけ・・・!」

軍事顧問B「申し訳ございません!将軍様・・・!」

軍事顧問A「生暖かい風が・・・将軍様、これが衝撃波でございます。」

兵隊E「(ラジオ越しの声)こちら10kmステーション!5kmステーションとの交信断絶!爆心5km以内は壊滅!地下防護壁損壊(ぼうごへきそんかい)!放射能の飛散(ひさん)を確認!死の灰が降ります!」

将軍様「・・は・・はははっ、見事、見事!」

軍事顧問A「・・・ばっ・・・バンザーイ!!・・・将軍様バンザーイ!!」

軍事顧問B「将軍様!バンザーイ!!チャンバーズ!バンザーイ!!」

将軍様「ん、ようやった、ようやった!」

軍事顧問A「将軍様、バンザーイ!!」

軍事顧問B「チャンバーズ、バンザーイ!!」

軍事顧問A「将軍様、バンザーイ!!」

軍事顧問B「チャンバーズ、バンザーイ!!」

将軍様「あぃ、ご苦労はん、ご苦労はん。」

軍事顧問A「将軍様、バンザーイ!!」

軍事顧問B「チャンバーズ、バンザーイ!!」

軍事顧問A「将軍様、バンザーイ!!」

軍事顧問B「チャンバーズ、バンザーイ!!」

将軍様「あぃはぃ。失敗やな?・・どうもどうも。」

軍事顧問A「将軍様、バンザーイ!!」

軍事顧問B「チャンバーズ、バンザーイ!!」

軍事顧問A「将軍様、バンザーイ!!」

軍事顧問B「チャンバーズ、バンザーイ!!」

将軍様「・・・ほな、そろそろ引き上げよか?」
        ・
        ・
(軍事顧問AとBのバンザーイ、気の済むまで繰り返し)
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・

(つづく)
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